開幕の導入部を作る時に考えたことをメモ。
どちらかと言えば直感で作る方なので、実際は作ったものを後から考察して言語化した結果。
スタート~初めて牢獄の間を出るところまでの話です。
一般性があるかどうかは微妙で、あくまでも自分の方法・考え方のまとめです。
あと、よくゲーム制作に関する記事で読む内容と被っているものも多いと思います。
(この記事でオープニング以外の内容に関してのネタバレはありません)
◆開幕30秒以内に動かせるようにする
自分の好みなのですが、ゲームは「動かすこと」が楽しいと思っているので、開幕に長いメッセージやムービーがあると「早く動かしたい」と思ってしまいます。
なので、最初は出来る限り早く動かせるようにしたい。
ということで、名前入力をしたら即動かせるようにしました。
これは前作サンプラーや前々作退廃でも同じ考えで、最初の導入は極力短くしました。
ただ今回と違って、前作、前々作では開幕に短い会話や独り言(大声)があります。
これはテキストがゲーム中の大きな要素の一つになっているのが理由です。
開幕後、すぐにテキストの雰囲気を伝えて、合う合わないを瞬時に判断できるようにしたかったので、「掴み」としてテキストを付けました。
今回は探索部分がメインでテキストはサブなので、テキストは省略。
マップに気になるものを散りばめておいて、開幕すぐに拠点の探索が出来るようにしました。
これは次で書くように自分から話しかけてゲームを進行するように促すためでもあります。
◆能動的にチュートリアルをしてもらう
ゲームの特性上、出来る限り能動的にプレイを進めて欲しいので、自分から調べたり話しかけないと「牢獄の間から出られない」=「ゲームが進行しない」ようにしました。
この「最初の部屋に閉じ込める」という方法は、ドラクエ1を参考にしています。
色んなゲームの記事で見る話ですが、ドラクエ1は開幕の王様の間から出るのに、自分から全てのコマンドを使う必要があります。話しかけて、宝箱を取って、扉を開いて、階段を降りる…といった感じで。
同じように、牢獄の間から出る前に
・エメルダに話しかける
・オーブ(鍵)をもらう
・祭壇に設置して魔法陣を出現させる(扉を鍵で開ける)
・悪魔取引を調べてアイテムを貰う(宝箱で準備を整える)
・魔法陣に入る(階段で移動する)
…という行程を自分から進められるようにしました。
これで拠点の仕組みが大体分かるし、「自分から調べたり試したりしてゲームを進めてもらいたい」というメッセージにもなっている…はずです。
あと、システム的なテキストでのチュートリアルは極力避けました。
「能動的にプレイを進めて欲しい」というのもありますが、それ以上に、自分がゲームをプレイしている時に、文字でチュートリアルが出ても全然読まないからです。
説明書とかも読まずに、まず触ってみるタイプなので、自分と似た嗜好の人がプレイするならば、プレイしながら覚えれる方がいいだろうという判断をしました。
◆最初から色んな要素を開放しておかない
開幕は拠点(牢獄の間)で出来ることを、かなり限定しました。
最初から沢山のことが出来ても覚えきれないし、開幕はとにかく動かしてゲームを進行したいと思うのが自然だと思います。
なので、牢獄の間では、ひとまず「ここまで分かってればOK」な部分だけを使えるように開放しておき、残りの要素(召喚とか理智とか)は旅の途中で追加していくようにしました。
この方法はBloodborneを参考にしています。
Bloodborneは、武器強化やカレル文字(付け替え可能なパッシブ)が使えるようになるのは序盤の中頃だし、最序盤ではレベルアップすら出来ず、開幕は武器すらも持ってない…というゲームです。
文字でのチュートリアルではなく、何もない状態から新しく得た要素を順番に試していくことで覚えていけるという、とても親切な設計だと思います。
◆最初に目的地を示す
またドラクエ1の話ですが、ラダトーム城から外に出た時、すぐに竜王の城が見えます。
これは最初の段階で最終目標が見えることで、ゲーム全体の流れがイメージしやすくなる効果があると思います。
なので、自分のゲームでも最初に最終目標を明確に示すことにしました。
4つのオーブを見つければ扉が開いてラストへ…という流れを最初にエメルダに説明してもらうようにしました。
これで、ゲームの進行度も明確になるし、いわゆる「序盤で見たあそこにいつか行きたい」をゲーム全体で再現することを狙っています。 (出来てるかは不明)
◆舞台の説明は一応する
制作初期の段階ではエメルダの会話も極力短く、会話中のウェイトなどもありませんでした。
しかし、作っているうちに設定やストーリーが込み入ってきたので、物語に溶け込む時間として最初の会話だけは少し長めに作りました。
恐らく、この会話のほとんどの内容が開幕の時点では意味不明だと思うのですが、中身を理解してもらうことよりも、「たぶん裏に設定やストーリーがあるんだな」と思ってもらうことが大事でした。
そう思ってくれたプレイヤーはその先の残留思念などを読むときに、少しだけ深読みして考えながらプレイしてくれるかもしれません。そして、そこでの考察が探索の楽しみを増してくれるかもしれません。
ただ、探索だけが目的で設定部分に興味がないプレイヤーもいるはずなので、この最初の会話以上に長いエメルダとの会話は作りませんでした。
また、細かい設定の理解がゲームの進行に大きく関わるメインルートは作らないようにしました。 あくまでも、設定やストーリーは探索を盛り上げるためのサブ要素で、メインはマップ探索だからです。
ゲームの中盤などで、再度同じような会話が行われてしまうと、「もしかしてストーリー理解してないとマズい?」と不必要な不安要素を生んでしまい、探索の楽しみを妨げる可能性があるかもしれないので、それ以降は簡単な会話のみに留めておきました。